松下電器産業は2008年2月5日,2008年春から消費電力を半分に低減できる技術の一部を投入したプラズマテレビの新製品を発売する。「ラインナップを充実させていき,2009年度には(松下の)プラズマテレビ全体でほぼ液晶テレビ並みの消費電力にできる」と,同社代表取締役専務でパナソニックAVCネットワーク社社長の坂本俊弘氏が表明した。同日,兵庫県尼崎市のPDP工場で開催した,PDPの事業戦略説明会と工場見学会で明らかにしたもの。

 これまでPDPは,液晶パネルと比べて消費電力が多く,省エネ性能が弱点とされてきたが,松下電器は2008年1月8日にPDPの発光効率を2倍に高める「Neo(ネオ)PDP」技術を発表している(Tech-On!関連記事)。発光効率が2倍なので同じ輝度ならば消費電力は半分で済む。新製品はこの技術の一部を投入する。

 薄型テレビは二酸化炭素排出量の削減のため,省エネ性能の向上が求められている。2008年度を期限とした消費電力の規制(省エネ法トップランナー方式による目標基準)が決められているが,43V型(付加機能なし)の場合,液晶テレビが年間エネルギー消費量282.5kWhであるのに対してプラズマテレビは369.7kWhと,今のところ相当緩く設定されている。ところが欧州連合(EU)で検討されている基準値は,「液晶とプラズマの区別がなく,しかも基準値を満足していないとEU域内で販売できない」(パナソニックAVCネットワーク上席副社長の藤田正明氏)。プラズマには厳しい内容になっている。さらに日本国内も次期規制では,液晶とプラズマの区別がなくなる可能性があるという。松下電器は今回の省エネ性能の向上で,こうした規制強化にも十分対応できるとしている。


 【訂正】記事初出時に,見出しの中で「消費電力を半減する省エネ技術搭載のPDPを投入」と記載しましたが,「消費電力を削減したPDPの投入を開始」の誤りでした。また本文第1段落で「低減できる技術を投入」,第2段落で「この技術を投入」と記載しましたが,それぞれを「技術の一部を投入」の誤りです。記事本文は修正されています。

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